自費の入れ歯の特徴
自費の入れ歯
保険の入れ歯
入れ歯は、使用する材料や機能性によって、健康保険適用の保険診療(以下、保険)と健康保険適用外の自費診療(以下、自費)に分かれます。
保険の入れ歯は、それほど高額にはなりませんが、必要最低限の役割を果たすことを考えて作製するので、材料にこだわったり、機能性や審美性などを追求することができません。
自費の入れ歯は、保険よりも高額になりますが、違和感の少ない噛み心地を実現し、自然な外見を再現することができる高品質な材料を使用します。
患者さまに実際にお使いいただく入れ歯は、機能性や審美性に優れた自費の入れ歯の方が良いといえます。そのため、迷わず自費の入れ歯を選択される方もいますが、当然、保険の入れ歯を選択される方もいます。
当院では、高額な自費の入れ歯を積極的にお勧めしているわけではありません。
まずは患者さまのご要望を大切にし、「何を改善したいのか」「どの程度の機能性と審美性を求めるのか」を意識して、入れ歯の種類や特徴などを知っていただくことが基本だと考えています。 その結果、保険の入れ歯で患者さまが満足できるのであれば、問題ないということです。
ご要望によって自費の入れ歯の方が適していると思われる場合には、その旨ご説明しますが、無理強いすることはありません。
あくまでも選択肢のひとつとしてご提案するので、どうしても保険の入れ歯にしたいという方には、そのなかで適したものをお勧めします。
入れ歯の種類
入れ歯にはさまざまな種類がありますが、当院では主に以下の入れ歯を取り扱っています。
フレキシブルデンチャー
『フレキシブルデンチャー』はプラスチック系の特殊なナイロンを使用した素材でできており、クラスプ(留め金)を使用せず高い弾力性で固定することができます。透明感があるので歯肉の色調になじみ、目立ちません。
食べ物が挟まりにくく、無味・無臭なので、安心して食事を楽しむことができます。
■フレキシブルデンチャーのメリット
- 透明感があり、歯肉と見分けがつきにくく、ノンクラスプ(留め金を使用しない)で目立たない
- 薄くて軽く、装着感が良いので、歯と口にぴったりと合い、痛くない
- 食べ物が挟まりにくく、快適な使い心地を実感できる
- 金属不使用なので金属アレルギーの心配がなく、安心して使える
- 柔軟で丈夫なので、割れにくい
■フレキシブルデンチャーのデメリット
- 傷つきやすいので、専用の入れ歯洗浄剤で洗う必要がある
- 奥に歯がない部分に使うと、噛んだときに多少変形するので、調整が必要になることがある
金属床
『金属床』は、義歯床(入れ歯の本体)が金属製の入れ歯です。
金属なので入れ歯を薄く作ることができ、会話しやすく、違和感も軽減できます。
■金属床のメリット
- 薄いので会話しやすく、違和感が軽減できる
- 熱伝導性に優れているので、自然な温度感覚で食事できる
- ほとんどの症例で使用できる
- 汚れが付きにくいので衛生状態を保てる
- 破損・変形しにくい
■金属床のデメリット
- 咀嚼力が天然歯の10~20%に落ちる
- 落ちたり外れたりしやすい
- 修理が難しく、修理のたびに金属が厚くなるので、本来のメリットが失われる
- 顎の骨が吸収されることで徐々に合わなくなるため、定期的な調整が必要となる
- 金属アレルギーの原因になりやすい
マグフィット
『マグフィット』は、磁石式入れ歯のことで、磁石の力を利用して入れ歯を装着します。
歯根に磁性金属(磁石につきやすい金属)を取り付け、入れ歯にも小型磁石を埋め込むので、強力な磁力でしっかりと入れ歯を固定できます。
歯の無い方は顎の骨にインプラント(人工歯根)を埋め込み、そこに磁性金属を取り付けます。
従来の部分入れ歯は、残っている歯にクラスプ(留め金)を掛けて支えていました。
それだと支える歯に負担がかかり、歯を痛める原因になっていましたが、このマグフィットであれば、周りの歯に負担をかけません。
■マグフィットのメリット
- クラスプがなく、装着や取り外しが簡単なので、手入れが簡単にできる
- 強力な磁力でしっかりと固定できるので、外れたりガタついたりしない
■マグフィットのデメリット
- 磁性金属を接着する歯は、無髄歯(神経を除去した歯)でなければならない
- ペースメーカを装着している方は使用できない